彼女は、同じ中学の同級生でした。
どちらかといえば控えめで、
でも笑うとくしゃっと目尻が下がる、
人の話をちゃんと聞いてくれる、
静かなタイプの子でした。
私たちが再会したのは
社会人になって数年経ったころ。
地元に帰省したとき、
駅前の小さなカフェで
ばったり会ったのがきっかけでした。
「久しぶりだね」
と言いながら
少し照れた笑顔を見せた彼女は、
中学の頃よりも少し落ち着いて、
どこか肩の力が抜けたように見えました。
彼の話を聞いたのは、それから数ヶ月後。
「年下の彼と付き合ってる」と彼女。
「3つ下なんだけど、落ち着いててちゃんと向き合ってくれるの」
そう言って目を細める彼女は
すごく幸せそうだった。
「やっと、ちゃんと恋愛できてる感じがする」
カフェの窓際で
カップを両手で包みながら
そんなふうに話していました。
自分の中の安心を
大切に抱いているように見えました。
そしてどこか、
手放したくない不安も滲ませながら。
数ヶ月経ったある日。
私たちはまた
同じカフェのテーブルで
静かに向かい合っていました。
彼女、
なんだか落ち着かない様子で、
アイスティーのストローを
ぐるぐると回していました。
「最近、彼のLINEの返事がそっけなくてさ」
「仕事が忙しいって分かってるんだけど、
ちょっとしたことでも不安になっちゃうんだよね…」
そう言ってから、
彼女は少し下を向いて。
「私、うざいよね」って。
でも私にはわかっていた。
彼女がうざいんじゃない。
ただ、
自分で自分を安心させる方法を知らないまま
突き進んでしまっただけだと思う。
ある晩、彼女から
たった1行、メッセージが届いたんです。
「今日、別れた」
私はすぐに電話をかけました。
彼女の声は落ち着いていたけど、
どこか乾いていて。
「彼、言ったんだよね。『もう無理』って」
「頑張ってるのは分かるけど、重いって」
その言葉が、
尽くして、我慢して、不努力して…
そんな彼女にとって
どれだけ残酷な言葉だったか。
電話越しで
泣きじゃくる彼女の声を聞けば
彼の大切さを
もはや測る余地なんてなかったです。
彼女は彼に、たくさん尽くしていました。
会いに行くのも、
予定を合わせるのも、
記念日を大切にするのも、
ぜんぶ彼女の方でした。
「ちゃんと好きでいてもらえるように努力してた」
「返事が遅くても責めないように我慢してた」
それは、
愛というより、
不安の上に積み重ねた頑張り
だったのかもしれません。
彼女は最後に
彼にこう言ったそうです。
「私、こんなに頑張ってきたのに」
「なんでわかってくれないの?」
その言葉の裏に、
私はこれだけ我慢したのに
という報われなさがにじんでいます。
でもそれって、
ほんとうに
彼だけの問題だったんでしょうか?
彼女の話を聞きながら、私はふと考えました。
彼女は、
彼にどう思われるか?
そこは徹底的に
考えることができていましたが、
『自分が何を感じているのか?』
この部分は
ほとんどノータッチだったようです。
✅️なぜこんなに不安になるのか
✅️なにが怖くてLINEを送り続けてしまうのか
✅️本当はどこに寄り添ってほしかったのか
こういうことを
彼女が電話で
一度も言葉にしてこなかったから分かります。
じっさい、数ヶ月後、
彼女はなんどか
彼に連絡してみたけれど、返信はありません。
「既読はつくけど、返事はない」
「たぶん、もう無理なんだと思う」
そして、
またも悲しいセリフを、
彼女は次々に口にするんです。
「私、もっとキレイだったら、ちがったかな」
「もっとサバサバしてる性格だったら、重くなかった?」
彼女はそうやって、
また彼に合わせる理想像を探していた。
これは1年前の話。
彼とは一切連絡を取っていないし、
なんならLINEも消してしまったみたいで、
彼女が彼と戻れる確立は…絶望的。
私が思うに、
彼女に本当に必要だったのは、
『自分を見つめる時間』
毎日LINEで意思疎通。
毎週末、彼の家に行く。
夜が来るたび、身体を重ねる…
でもそれだけじゃ補えない部分が、恋愛にはあります。
恋愛って、不安を隠すゲームじゃない。
相手を操作する戦略でもない。
自分の感情をどれだけちゃんと扱えるか。
それが恋愛の本質なんです。
彼女は、それを知らないまま、
尽くすことで愛されようとしていた。
でも、本当の愛って、
本音のままでも一緒にいられる関係
の中にしか育たない。
彼女の話をするのは、
彼女を責めたいからじゃないんです。
むしろ、あのときの彼女は、
私たち女性が
一度はかならず通る”迷路”の途中にいました。
だからもし、
あなたが今
「もう一度彼と向き合いたい」
と願っているなら
その気持ちごと、
いったん受け止めてあげてください。
自分の声を聞いてあげる時間だけは、
どうか忘れずに
持っていてほしいなと思うんです。

別れた彼と会う前に
上から順番に読んでおくと
いざというとき役立ちます☺️